会長の座標軸 ( NO.2)2007年09月11日 17時02分18秒

利益は人の活用の仕方で生まれてきます。その活用の仕方は、規模とか業種とかによっていろいろと違うものだと思うので、一番精通している経営者が考えることです。人を増やしても、優秀な人材を採用しても実の利益は出てこないのです。トップの工夫がいろいろと必要です。 ●トップの資質 利益が出てきたら次に大切なことは、トップの資質だと思うのです。税引き後の利益は何に使うのでしょうか? 他人資本が入っていれば、金利程度の配当は必要でしょう。 しかし、第一に景気の変動に左右されないしっかりとした基盤のある会社をつくりたいという夢があるのであれば、「生きているお金」を作ることが一番です。お金には三種類あると思います。それは「生きているお金、死んでいるお金、毒のあるお金」です。 ○生きているお金とは? 貸借対照表の流動資産より、内部留保金が大きい会社のお金です。一般的表現をすれば無借金経営にちかい状態のお金です。資金繰りに追われる心配から解放されます。余計な心配から解放されます。余計な事務処理から解放されます。 ○死んでいるお金とは? 会社の運転資金を金融機関に頼っている会社のお金です。自分のお金にみえますが、それは虚像で実体は他人のお金です。しかも金利という余計な費用がかかります。他人のお金で、ゴルフをしたり、遊びに散在していいのでしょうか? 銀行の貸し剝がしにあえば終わりです。自立するために、自己資本を増やすことです。 ○毒のあるお金とは? 赤字会社のお金です。法人の7割が赤字だそうです。利益が無いのですから、借入しても永遠に完済できません。資産の切り売りで凌ぐしかありません。一発逆転を狙い、儲けようという気持ちが先行するため、経費を必要以上につかい、赤字が年々膨らみ最後は倒産ということになります。 中小企業は利益を出して、税金を払わないと回転していかない仕組みになっているのです。税金は勿体ないと考える経営者(全体の七割)が多いのですが、まずその考えを捨てないと企業の発展はありません。一番簡単な利益の出し方は、経営者が質素な生活に徹することから始まります。 資質の一番は「税金を惜しまないで沢山払う」です。必ず見返りがあるものです。 次の資質は「贅沢厳禁」というハングリー精神を保つ必要があります。心の欲望のダイエットするのです。すべてを得て、満足してしまえば中々改革とか挑戦はできなくなるのではないでしょうか? スポーツ選手と一緒です。いろいろな誘惑に乗らずに中流の上クラスでエンジョイすることです。それを私は「夏のスイカ」で表現します。食べ物は、旬の時期が美味しいし、価格も手ごろなのです。ややもすると「冬のスイカ」を好む人がいます。普通の人は値段が高くて食べにくい時期に優越感に浸って食べるのです。無駄な経費を惜しまないと利益は出ません。 (次回は「街中の夢工場」について)

会長の座標軸 ( NO.3)2007年09月21日 17時05分53秒

組織を活性化して利益を出して、税金を払い生きたお金を作ります。トップは贅沢を避けて、全て中庸のなかに喜びをみつける努力を惜しまない。 世の中を見渡すと、全て対立した立場での考え方が蔓延しています。例えば、富裕層・貧困層、中央・地域、治安・テロ、利益・損失等いろいろあります。そのような中で、私は「エゴからエバへ」、言い換えると「共生」の理念を実践してきました。共生とは、違う者同士が自分の分身だと思いながら仲良く生きることです。そのためには、自分の福(取り分)を抑え、その福を分けることから始まるのではと考えています。 夢工場づくり(三つの虚の世界)の始まりです。

● 夢工場のネーミング(地域との共生) 私どもの会社は花壇で囲まれています。高級住宅地のメイン道路沿いに面しています。時間によっては渋滞も発生します。多くの工場は住民とのトラブルを避け、地方に移転していきました。大企業は別ですが、町工場といえば、誰でもが、汚い・臭い・暗いというイメージが浮かびます。誰でもが、自分の家の横には来て欲しくないと考えます。 当然のことでしょう。地域と共存する為に、自分の主張ではなく、第一に地域への同化を考えました。その結果、花壇を作り喜ばれる環境をつくることになったわけです。 お得意様が工場見学に来社されます。「こんなに奇麗に咲き誇った花に囲まれた工場はあまりみたことがない。まるで夢工場だね!」と、お褒めの言葉を頂くようになりました。 地域との共生、これも夢かもしれませんが、積極的に係り合いをもって推進しています。 地域貢献度も企業としての役割を図る尺度かなと思います。 ● 夢工場(社員との共生) 夢のある社員は宝石の原石です。権限を与えて、思い切って仕事を任せれば磨かれて輝いてきます。失敗という結果ではなく、仕事を進めていくうえでの判断(得意先の立場で考えているか、公平か、改善されているか)基準が大切なのです。 社員の夢は会社の夢と捉えて、バランスを考えながら、達成するべく邁進すれば必ず達成できるのです。普段から、社員同士の共生意識の向上を、仕事と委員活動を通して図れればと考えています。社員の夢を達成する目的の夢工場でありたいと願っています。 社員満足度も大事な尺度です。 ● 夢工場(得意先より信頼される)   信頼される技術の提供だけを、毎日毎日、毎月毎月、毎年毎年、考えながら生きてきたし、これからもずっと同じ事を考え続けることでしょう。それでも、得意先から信頼される事は夢のような話です。私たちは、得意先満足度の向上に毎日が命がけです。 (次回は「中小企業の心意気」)

会長の座標軸 ( NO.4)2007年09月27日 19時27分27秒

会長の座標軸 ( NO.4)

組織を活性化して利益を出して、税金を払い内部留保金も程々に溜まりました。輝く社員も何人もいます。会社は安定してきました。 社会は人と人との係わりあう社会ですから、お互い長所を認め合うことが大切です。共生の心からは、争いはおきません。お互いチョット我慢して、助け合う社会こそ夢の社会だとおもうのです。会社も人の集まりだから、同じことです。 私が先代より譲り受けた貴重な財産は一枚の色紙です。無名の書家が描いた、しかも色あせた「色紙」です。先代の会長室に飾ってあった物です。「心豪」と書かれています。意味も聞かずに終わりました。書の姿が背筋をまっすぐに伸びている形をしています。今は、第一会議室に飾ってあるのですが、眺める度に[心]の心意気の大切さを感じます。共生の理念は、自分の主張を曲げることではありません。堂〃と心の中に、その主張を夢として掲げるのです。夢に向かって努力することこそが大切と思っています。 ● 町工場の心意気 「籠に乗る人、担ぐ人、またその草鞋履く人、造る人」私はこの言葉が大好きです。 日本の産業構造は大企業(1部上場企業)が支えています。日本という籠を担いでいるのです。その上で、私たち町工場は末端の仕事をしていることの現実をしっかりと見据える必要があります。 ですから、勘違いして籠に乗ったり、担ぎ手になったりしてはいけないのです。黙々と与えられた領域の仕事に精をだせば良いと思っています。 「役にたつ仕事をしている」、「誰にも負けない品質の製品を作っている」という誇りがあるからこそ、汗だくになって、休日さへ返上して働くようなつらい製造業が続けられると思っていますし、私たち製造業の職人の心意気は、「喜んで使ってもらえる製品を造るのだ」という誇りと情熱以外になにもありません。 悲しいことに、多くの人たちは働く場所を、できるだけ大きな会社で、高賃金で、楽しくて、環境が良くて、しかも肉体的な楽な仕事場に流れていきます。 技術に誇りをもって黙々と努力している沢山の町工場があると思うのです。金儲けとか、社会的地位とか、高収入とか、高労働条件からほど遠いのですが、「物づくりの仕事」に直接携われる満足感は、なにものにも代えられない喜びがあります。 このたび、身の程を超えてしまったのですが、是非とも若い多くの人が望んでいる製造業、しかも、町工場の姿を知り、それに向かって新たな挑戦をしたいと願うようになり、「夢工場作文コンクール」を法政大学院と共同企画をしてしまいました。若者を迎えられる工場に変身できたら素晴らしいなと、これも夢の虚です。 (次回は「決算書の虚像」について)