会長の座標軸 ( NO.1)2007年08月27日 22時02分53秒

長い人生66年間、しかも千代田に入社して約40年間の中で、曲がりかというか骨休みできる踊り場が、きっとあった筈なのに気がつかずに、今日も楽しく生かされている自分に戸惑いを感じています。 ことの成行きで、来月から四季号の「ちよだ夢工場新聞」を創刊することになりました。 いろいろな方向から、会社の見える化を推進してきた手前、心の中まで見せるのは非常に恥ずかしい限りですが、私も神輿に乗ることにしました。紙面の中に題記の記述欄があるので、私はブログに勝手気ままに記述したものを、編集長(社長)が手直しすることとなりました。 心楽しく生きるには、心のありようが大切かなと思っています。ありのままに心動かすことです。「こうあるべき」「これは間違っている」という考えを捨てて、あるがままに素直に生き切ることだと思っています。虚(見えないけれど、大事なこと)と実(見えるけれど、どうでもいい事)で世の中を見渡すと不思議なことが沢山あります。

「企業は人なり」 とは良くいわれていますが、人が増えても会社は良くならないし、人が減ってもそれ程生産性は落ちません。優秀な人がいるからといって、会社の成績は思う程はよくならないし、仕事をしない人がいても、業績もほとんど悪くなりません。 企業にとっては、仕事が出来る人(実のある人)は大事だけれどもどうでもいい事、即ち虚だと思うのです。例えばどんなに優秀だといわれている会長・社長でさえ、いなくなればなったで結構順調に会社は動いていくものなのです。企業は地球が自転しているように、毎日毎日目的に向かって回転しているだけです。当社の目的は得意先を満足させられる製品なり、サービスを提供することです。これができれば、順回転ですので会社は発展し、逆に満足させられない提供は、悪循環になり縮小させられていきます。しかしながら、今は順回転であっても大事なことは、提供物を進化させなければ成らないことです。  本当に大事な社員とは、自分と会社の夢を持ち、正悪の判断(Three Question: 1.本当に得意先のためになる品質改善かどうか? 2.公平かどうか? 3.本当に生産性が向上するかどうか?)ができ力がある人(普通の人で良いのです)だと思います。 私の好きな言葉で「随所に主となれば、会社力は無限になる」があります。一人で出来ることは限りあります。経営者は、大事な社員に思い切って権限を委譲し、すきなように仕事ができるように環境をつくってあげるのです。管理者から決済権は保留し、応援と尻拭いと再発防止策の対応に専念させるようにするのです。「主となれる輝く社員」を沢山そだてる事が経営者の役目だと思うようになってきました。それは、トップが決断すればできることなので、それほど難しいことではありません。社長が応援団長になれば、きっと素晴らしい会社になると思うのですが…。 「主となれる輝く社員こそ会社の宝」です。自分の夢だけでなく、社員の夢達成に向かって、自分と同じような主役を沢山磨いて育てることです。会社が宝の山になれるかどうかがトッブ次第となれば、「会社は社長次第」ということになります。社長の資質は「虚」の部分で外からは見えにくいものです。

会社の利益とは 実利益(一般的に目見える利益)は、販売価格から総費用を引いた額です(会計学的表現ではありませんが)。従って、儲ける為には、客の顔色を伺いながら、出来るだけ高く売りつける事になります。若しくは、総費用の低減です。一般的には、支払費用の切り下げです。ここに現代資本主義の乱れとか格差社会の病原が潜んでいます。この利益は幸せを願う人の為に役だっていませんから、「虚像」だと思うのです。このやり方を追い続けても、私たちのような中小企業は破綻してしまいます。 虚の利益(見えない利益)は、人の活用の結果から生まれてくるのです。 ●例えば弊社の経理事務を紹介します。殆どの仕事は、目的のない仕事、仕事だけの仕事に追われているのではないでしょうか? 現金出納帳、買掛金台帳、売上帳がありません。 転記事務が一切ありません。弊社独特の事務処理方法で、製造技術の「匠」に相当する方法です。これも外から見えない虚に相当する部分です。銀行にもいかないし、集金もしません。主たる仕事は、月次決算書の作成です。毎月一日には、前月分の試算表が出来上がっています。資金の移動はホームバンキングで処理されますし、月末経理事務はなにもありません。小口現金処理はバッチ処理方法なので、一週間に一度窓口にでかけるだけです。投資等もなにもしていないので、経理は女性一人でこなしています。勿論、請求書の発行、入金処理等はするので、暇ではありません。一般の会社であれば、三人は必要な仕事量です。従って、二人分の人件費が浮いている計算になります。 ●次に製造部門を紹介します。作業の違いにより四つの部門(バフ、電気、組立、検査)に分かれていますが、多品種少量の製造ですから、流れが一定ではありません。当然、何所かで渋滞個所が発生します。そのボトルネックの解消が大切な仕事になります。勿論、部門内での多能工を目指すのですが、弊社では、ブロックを超えて、製品と一緒に人が移動します。ボトルネックの解消に全員で取り組みます。 そのうえ、委員会活動(5S、TQC、安全、親睦、美化)を全員参加で取り組んでいます。縦割りの組織に比べて、こなす仕事量を考えると、やはり二人分の人件費が浮いている計算になります。 ●次に営業部門を紹介します。弊社独特の方法はいろいろの雑誌等で紹介されているので、改めて紹介しませんが、「情報の公開と共有」につとめています。根底は「どこにも負けない品質と技術と納期を提供する」という考えなので、新規営業活動はしておりません。会社の中身をどのようにして「見える化」を進めるのが大きな仕事になっています。 営業システムも「匠」の世界です。営業部門も少なく考えても二人分の人件費が浮いている計算になります。 合計すると、他社に比べて、六人分の人件費を浮かせながら、高レベルの仕事をしていると思っています。年間計算すると、六人分の人件費ですから一人五百万としても、なんと三千万の純利益ででる計算になるのです。私はこれが虚で見えないけれど、本当の意味での利益だと信じています。 この方法は、社員に高い質を求めているのではありません。大きな意味での生産システムを作り上げたことになります。毎月の損益計算書・貸借対照表は、生産システムが順調に稼働しているかの重要なチェックなのです。 改めて、「企業は人なり」の重みを理解できます。人の活用の仕方で利益が出てくるのです。(次回は「トップの資質」について)

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